舞台は主人公陽介が子供時代を過ごしたとある田舎町の教会。陽介の元にその教会が無くなるという連絡が入り大学の夏休みを利用して陽介が戻ってくるところから物語は始まる。昔懐かしい朧白市に戻ってきた陽介はそこで幼馴染と再会し、子供の頃と同じようで、でも少し大人になった彼女達に戸惑いを覚えるのだった。
さて、そんな枕の最新作。一度の延期を経てということもありいろいろクオリティアップして発売されました。ライターへの指摘だったりグラフィックへの不満だったりを受けて修正や改善をしていくっていうスタンスは素晴らしいものだと思いますので早くサクラノ詩を表舞台に出して上げましょう。
システム・構成
既読オートスキップとボイス再生時BGM音量ダウンが欲しかったです。
そんな要望はひとまず置いておいて。構成とシステム面あわせて言っちゃいましょう。
ルート分岐は詠、雛桜、ルカ、金剛石の4人で雛桜は詠ルート攻略が条件になっていつようで、つまりメインヒロインは雛桜ちゃんなんですねーっと。
分岐のタイミングですが体験版パートが分岐に関わっているところ全部かな。数は若干多いですが基本的にそのキャラが喜ぶ選択肢を選んで行けば問題ないのですが分岐の関係から金剛石、ルカは共通パートをほぼスキップできるのですが詠、ヒナの二人に関しては早めから分岐に関わるため少々手間。
選択肢次第でその後の会話が一言二言変わる程度ですので既読文オートスキップが欲しいと思ったのはこのへんが理由。ちょこちょこスキップ途切れるんですよね、地味に不便だったポイントです。
ボイス音量云々ですがやっぱこれがないとボイスとBGMの調整が難しいのですよね。ボイス流れているときはボイスが聞きたいしボイスなくてBGMが聞きたい時もあるしで、BGM大きいとボイス聞きにくいのですよね。気にならない人は気にならないでしょうけど。
プレイ時間はルカ、金剛石は3時間ぐらいで詠がもうちょっと長い感じでヒナが7時間ぐらい。
サウンド
ボーカル5曲とBGMが33曲。各エンディングがピアノアレンジとノンボーカル曲としても収録されていますね。音楽に関しては素晴らしき日々やいき恋でおなじみの松本氏、あいからずピアノ調の曲が綺麗です。
音楽自体は特にこれといって飛び抜けた物はないと思うのですが雰囲気ゲーと言っていただけに舞台と音楽性が非常にマッチしています。昔から変わらない田舎町という物と賑やかなメンバー、そして変わっていくことへの寂しさと嬉しさ、それらのシナリオに対してしっかりと音楽で支えることができている、という感じです。
ちなみにお気に入りは です。
演出・デザイン
デザイン面はこちらも何か気になった点は少ないかな。強いて言えば田舎町に合わせて極力建物の描写が少ないってことぐらいでしょうか。当然と言えば当然な事ではありますけどね。
演出
立ち絵や表情変化が多く悪くはない、悪くないのですがどこか印象に残ったのかと聞かれるとこちらも特には……と言った感じになっちゃうわけです。それでも立ち絵の使い方が結構うまかったかなと、動きはありますしメインで5人ぐらいが会話するため画面内に映るキャラが入れ代わり立ち代わりするわけですがカットインとかで全員を写すなど工夫も見られます。
グラフィック
こちらはかなりの良ポイント多いですよ!まず全体を通して差分が多いところ、中でも振り向き絵の差分という珍しい立ち絵が用意されています。この立ち絵自体が使われる事は少ないのですがそのちょっとした所であると嬉しい立ち絵だったりしますね。具体的にはソッポを向いているシーンとかになるわけです。あとはキャラの後ろ姿が見えるっていうのも純粋に嬉しいところです。
こーゆうの
背景全般も自然物が多い中綺麗な塗りで仕上がっていますね。そして今回は背景使い回ししないのかなーとか思っていたらやっぱり秋葉原出て来ました。向日葵畑とかもしかしたらすばひびの中にあるかもしれない。
それとHCGがエロい。何がエロいっていき恋でもあった愛液がピンクっぽい着色だったり構図だったりが良い。その辺はまた後で。でもエロい
ストーリー
大筋としては田舎に戻ってきた主人公が幼馴染とどうこうして村興しとか昔の約束をどうこうとか教会が無くなる前に最後の思い出作りをとかやっぱり教会を無くしたくないとかそんなお話。ではなく精霊会議ちっくな要素に加えて変わるもの、変わらないものを焦点に当てたお話です。
正直なところを言うとちょっと予想のついていた感じだったのですがルカに関してはびっくりさせられましたね。
個別で見ていけば金剛石とルカは残念ながらサブヒロイン程度で物語の本質に関わっているのかと言われればちょっと微妙なところ。いわゆる幼馴染関係とすれば王道的なストーリーになっており、詠ルートへと繋がっていくのがこの二人のルートですね。
攻略順なのですが公式で言っていたとおり、金剛石→ルカ→詠→雛桜が完璧なんじゃないでしょうか。
ストーリーとしては金剛石から詠までのストーリーと雛桜単体のストーリーとして分かれているような感じとなり前者は詠を軸とした変わらない物、後者は雛桜が軸の変わっていく物というのがメインなのかな。
コンセプトにすかぢ氏が関わっていることもあってか作品の軸にあるのは「幸福に生きよ」っていう考えがあるのではないかなと。ライターとして書いているわけじゃないのでそこまで強く表現しているわけではないと思いますが、それでも詠ルートにおいては屈託のないハッピーエンドというのを見せてもらいました。雛桜は雛桜でいいけど個人的にはこっちが好み
雛桜ルート、10年後のストーリー。ちなみにいきなり大人時代になるということはなく幼少期のシナリオがあった上で10年後が用意されています。つまり2キャラ分ぐらいのテキスト。そりゃ長いはずです。
雛桜の両親がスポットになるわけですがそれと合わせて娘として見てきた雛桜の変化というところが見どころ。
しかしこの画像は便利そうですな
Hシーン
どっかに混ぜようと思った項目だけどそれだけじゃ収まらないので諦めた。公式で言っていたとおりHシーンだったりそういったシーンだったりに力を入れているということもありそれらのシーンが多いです。
キャラ個別で紹介
・金剛石
4シーンおっぱい
・ルカ
5シーンあった気がした。こっちもおっぱい
・詠
個人的に一番美味しかったですの詠ちゃん。ベッドでのシーンが3回と屋外が1回、あとシャワーでイチャイチャとお尻ぺんぺんで詠ちゃんイッちゃうのなんやかんやで6シーンぐらいあった。しかし制服プレイもなければメイドプレイもなく、あまつさえ水着プレイもないというのはどうなのでしょうか、枕さん。文句があるのはそこだけです。それ以外はごちそうさまでした。とても良かったです、はい。
詠ルートはテキスト200kbあるとかないとか。まあ確かに多かった。
・ひな
おとなになってから
シーンは4シーンで水着or制服の選択があって両方合わせて4シーンなので一回セーブから戻る必要があるので注意。
正直なこと言うとあんまりエロい目で見れなかった。
総じて
公式で言っていたとおり、雰囲気ゲーでありHゲーでした。シナリオ中では無理をしてHシーンを入れて来なかったのもシナリオ楽しみたい自分としては良かったところかな、後日談で一気にやるのはそれそれで疲れちゃうわけすけどね。
シナリオとしてはルカルートが藤倉氏だなと思ってしまうちょっと残念な展開になっていたのですが周り二人が強すぎるってこともあるのでしょう。一応枕のシナリオライターではあるので今後に伸びてくれると期待します。
詠、雛桜はライターの力もあってさすがの完成度。すべてを通して献身的な詠と雛桜の強さや彼女の成長を味わえるでしょう。
複数ライターで別方向のシナリオを書き、その上で外キャラの魅力は損なわせないというシナリオの統合性もあって全体を通して一つの作品として楽しめる本作「向日葵の教会と長い夏休み」詠と雛桜、それぞれのハッピーエンドへの物語はちょっと異色な純愛作品として間違いなく評価できる作品です。
ただしかし、詠のHシーンで水着もメイドも制服もないのはちょっと許せないのでファンディスク待っています
向日葵の中、詠は何を思うのか。さぁ、そこにあるのはハッピーエンドの物語