AXL9作目となる『Dolphindivers』のレビューとなります。AXLさんと言えばある種のラインで安定した作品を出していることで有名なメーカーとなりますが本作もその例に漏れず非常に高いレベルで作品がまとまっています。
本作はメインヒロイン全員が貧乳という俺得なデザインも合わさってプレイ前の期待値は色々と高い状態でしたが紅蓮華終わらすのに手間取ってこんなギリギリになってしまったのは申し訳ないです。
ざっくりと言うと前評判通りキャラの掛け合いが面白くそのかわりかシリアスシーンは弱いといった感じでいつもどおりのAXL作品とのこと。ずっと作風が変わらず安定しているというのは買う側からすれば安心して買えるので良いことだとは思います。
システム
いつも通りのシステム面から。
不満点は特に無し、と言いたいのですがシステムボイス固定がなかったのが残念。全キャラからランダムでボイスが流れるという仕様になっています。やっぱり気に入ったキャラクターのボイスでシステムボイスにしたいという気持ちはわかって貰えれば嬉しい。
それ以外では問題ないです。
良い面としてはシーンスキップ機能。既読シナリオではシーンごとにダイジェストが流れた上でシーンスキップのオンオフを場面ごとに切り替えができるので共通選択肢多めの割にはサクサクと個別ルートに入れるし、ただのスキップと違って合間の話も確認ができるという素敵機能となっています。シーンスキップ中には個別ルートなのか共通ルートなのかも表示されるためにルート確認もできることも非常に便利でした。
ついでにログから過去文章にジャンプできる機能は搭載してます、これもたまに使うので便利です。
それと画面比はデフォルトでは16:9ですが4:3もできますしウィンドウサイズも多少変更できるようになっています。
それとこれは結構な作品に入っているのですがショートカットキーってやっぱあると捗りますよねー。全画面プレイヤーなら多分分かるはず・・・
プレイに影響が出るという点での不満点はなし、イライラすることなくプレイできるはずです。
音楽・演出
演出から
キャラ掛け合いが多いので会話関連では叫ぶ系、驚く系などの大きなアクションが欲しい場面ではドアップの立ち絵というよりバストアップ画像というような物が入ってくるのは体験版と変わらず。個人的には龍正のアクションが印象に残っているわけですがヒロインズは基本的に可愛らしいんですよ。盛り上がりますし生き生きとしていますし。
また会話の流れで引くときなどは背景、効果音込みで飽きない表現になっており会話盛り上げに関連しての演出面はどれも凝っているものになっています。
効果音がそこそこありこちらも会話演出の盛り上げになっており、難事故等のシーンでは呼吸音とかでテキストだけでなく何をしているのかが想像しやすい感じになっています。会話だけだと臨場感が薄れるので細かく効果音があるだけでもやはり雰囲気が変わりますね。
続いて音楽面
メインテーマのエロイコは是非フルで聞いて欲しい曲です。個人的になかなか気に入った曲になりまして歌詞が良い。オープニングで流れる分でみれば「どんな3つの願い～この手で掴むんだ」の部分がなかなかに好きっすね。ピアノ音楽でアップテンポ曲なので聞いていて心地良い。ただタイトル画面でインストが流れ続けるんで洗脳されている可能性もあるのですけどね。
エンディング曲に関してメインヒロインはそれぞれ個別曲持ち、サブヒロインはインスト版になっています。個別ソングっていいっすねー。
音楽性はいつもの通り、明るめの曲多く事故シーン用がちょこちょこといったところ。救助シーンの音楽はなかなか格好良い。曲名で言うと「荒波を超えて」です。
曲数はED込みで33曲。多分多い方かと。
デザイン
項目分けどうしようか悩むコーナーなのですよね。なんかいいものはないですかね
CG総数、メインは平均で差分抜き20枚前後、内5枚ぐらいがSD絵になります。サブキャラは8枚程度とSDが2枚前後。合計すれば差分抜き110枚といったところでしょうか。全員が映っているCGが少ないのがちょっと残念と言えば残念。後は海難関係でもうちょっとCG欲しかったところ。
背景とキャラデザでは安定の瀬之本氏、AXLといったところでしょうか。海中や浜辺なんかかなり綺麗ですし教室内はパソコンの画面とか細かいところまできっちり描かれています。
キャラデザで見れば一見して分かるとおり従来のままといったところ。SD絵は可愛らしいですが変化がないと言えばそれまでで。まぁそんなに絵が変わることはないですし高いレベルの方なので問題はないですね。
立ち絵は大体3パターンと表情変化がいっぱい。多分5個ぐらいでしょうか。照れ顔とかちゃんと入れればもう少しあるかもしれません。服装は制服、私服、水着、救命装備、私服水着、みなも限定で寝間着といったところ。男性陣はここから私服水着がなくなっています。アップ絵は各キャラ2種程度。
結構多いですよ。表情変化が多いのとシュノーケル有り無し、アップ絵がかなり入れ替わるので飽きないです。破綻とはかないですよ。
別件ですが絵師100人展02の方も素敵でした。
システムメニューは見難いとかはなくプレイ画面もいたって普通。特に言うこと無しです。
キャラクター・シナリオ
まず主人公、カナヅチという設定はなんだったのか。まぁ最初から泳げるだとつまらないというところでしょうか。一応泳げるようになった変化という点では役立っている設定ではあります。
リーダー的なポジションになることもあって結構動いてくれています。ところどころでお約束を見せてくれますが格好いい所が多い。
良くある主人公像といえばそれまでですがヒロインや周りのキャラをより魅せるのが上手いキャラ付けなのかなと思いました。
キャラ個別だとサブキャラ全般にはそれぞれ短いですがEND付きになっています。紅蓮華と同じ感じなので流行っているのか？
どれもメイン補完とかではなくサービスといったところです。アクアに関してはちょっとした繋がりがありましたが理帆ルートでも触れられていることですしね。本当にこっちはおまけ程度です。前述のスキップ機能と合わせてサクサクと見に行けます。
メインヒロイン関連
まず番長に関して、これはちょっと個人的に苦手なキャラ付けでした・・・やっていないという事はないのですが・・・ね。
面白くないというのではなく本当に肌に合わないタイプでして。姉御肌でありツンデレ好きな方にはオススメ。是非やってあげてください。
シナリオでみれば日常会話、訓練パートが非常に面白い。特に日常会話では複数キャラ同士での掛け合いは演出面も合わせて笑いどころも多く空気になっているキャラクターが少ないというのが見事です。龍生と女性陣の天丼な流れは分かっていてもクスリとしてしまう程。
男性陣がどれも良いキャラをしています。村長を始めモブキャラが結構関わってくるしボイスもあるのが飽きさせない一環かと。基本的にボケ担当は男性陣ですけどね。
なんだかんだで絡みが多い状況での文章は本当に上手いです。逆に個同士の会話ではもう一息が欲しいところが多くあっさり気味、悪く言えば薄いシナリオです。
海難事故シーンでは盛り上がるところはしっかりと盛り上がるのですがそれに反して終わり方が弱いなという感じはいつものAXLなのでしょうか。
事前に分かっていればそこは気にならない、むしろ日常シーンが楽しみという方には問題ないでしょう。
これはかなりのネタバレになっちゃいますのでいないとは思いますが未プレイの方は回避推奨。
各エンドについて。あとみなも。
半分のキャラは結婚、つまりウェデングドレスCGで終わるわけですがこれは全キャラにして欲しかったというのが個人的な要望でしょうか。
特にみなもルート。この二人もこの先結婚するのは分かるのでいいのですがこのルートこそ訓練生、島民集まっての結婚式エンドが見たかったというのが素直な気持ちです。あの終わり方はまぁ悪くはないのですが個人的に残念でした。
ただみなもルートは個人論ですが非常に面白かったです。というのも王道展開が集まっている感じでして、二人の過去に関する件は何かしら予想通りでしたがやっぱり来ると嬉しい展開ですので良いシーンでした。
お楽しみHシーン関連
ヒロインは3シーン、サブは1シーン。
折角の海なのに水着シーンは？スク水は？というのが多いっすね。若干楽しみだっただけに残念。
メインヒロインは全員貧乳なのでパイズリはなし、そっちはアクアとか先生の領分となっています。
需要があるかどうかは微妙でしょうかね。本番のテキスト量はどれも少ないと感じました。
総評
いつものAXL。
変な欝や暗いストーリーなんかぶっ飛ばして楽しい話題、そこそこのシリアスを求めるなら間違いなく当たりの作品です。
シナリオでみれば確かにシリアス度に欠けるところが多くご都合主義MAXなのですがそれがここの作風ですし求める点ではないでしょう。
今作の魅力は綺麗なデザインとキャラ掛け合い。それを分かっていれば6月作品でも相当面白い物になっていると思います。少なくとも全体的に微妙だった紅蓮華と比べるとしっかりと特化した部分が明白かつ面白いとくればこちらに軍配が上がります。
前評判に反しない出来となっています。軽い作品としての十分過ぎる完成度はさすがのAXLといったとこで安心してプレイできる作品。
オススメするユーザーさんは普通のエロゲを楽しみたい方。又は純粋に笑いたい方は是非やってみてください。
それとAXLラジオとしてみなも役の桃井いちごさんとアクア役の鈴田美夜子さんのラジオもやっていますので是非聞いてみてください。かなり面白いです。
