ルートダブル - Before Crime * After Days - |
メーカー | Yeti/Regists |
原画 | みけおう わだぺん おおたか鳴海 |
シナリオ | 月島総記/span> |
点数 | 83点
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集いし記憶が1つになるとき、新たな絆が未来を照らす! 光さす道となれ! リミットオーバー・アクセルシンクロ!
エロゲではないですが9月作品である『ルートダブル- Before Crime * After Days -』のPC版レビューになります。もともとはXbox360で発売された作品の移植作。CeroもCということでエロシーンというよりは暴力シーン的な意味でのこの査定となっています。
コンシューマ制作を行なっている両ブランド共同の作品ってことでブランド名としてはあまり有名ではないところですがXboxで発表があった時から気になっている作品でやってみたいと思っていたので先月はこれをチョイスしたわけです。
冒頭のあれは案外嘘でもないのですよ。
さて、ではさっそくあらすじから。
巨大科学研究所、通称ラボ。国をあげての研究が行われているこのラボにて「事故」が起き、セキュリティシステム暴走の結果ラボ内に9名の男女が9時間の間閉じ込められることになる。
その9名の中で1人の男は記憶を失いながらも誰かを助けようと奮闘し、またある少年は少女を守るために死力を尽くす。
全員が生還する道はあるのか。そしてこの事故の背景とは何なのか。2人の思想が、9人の記憶が1つになるとき、そこに真実へ至る道が明らかとなる―!
いつもの用に下記からとなります。
システム
なんじゃこりゃとか言いたくなる程度には酷かったです。恐らくXboxで出た時のシステムと同じだと思うのですが強制セリフカット、調整のしにくい音量関係、見にくいセーブ画面。あと全体的にもっさりしています。ディスクレス不可ってのもいまいち。
ショートカット面はなぜか充実していますがゲームシステム面でははっきり言ってだいぶ弱いかなと。普段やっている作品でも無駄かと思っていた機能がいざなくなると必要性が分かってきました。
独自システムとしては選択肢なしでその代わりに「Senses Sympathy System(センシズ・シンパシィ・システム)」というものがあります。詳しく書くと長いのですが要はシナリオ中にこの機能を使いキャラへの感情や印象等の精神面を操作するといった感じのものです。
キャラ同士を仲良くさせたい、意思を尊重させたい等のプラス方面であればゲージを上げたりその逆を行ったりと古色迷宮輪舞曲にあった運命量を自分で操作できるといったのに近いかもしれません。
面白いシステムではありましたが大体のところではゲージを上げるだけだったのであまり考えなくてもストーリーが進んでしまうのでこれなら素直に選択肢方式で良かったのではないかなと思います。古色迷宮輪舞曲ではセーブ不可と合わさってよく考える必要がありましたが今作、普通にセーブできますのでね。
あとラムシステムっていうのもありますがあれ独自システムでいいのかな。ストーリー読み進めると新しいストーリーが出る。みたいなものなので別段触れるところはないです。
システム面ではどうにもいまいちなところが否めないです。
音楽、演出、デザイン
演出面はクドイよってのが多いです。別に長く設定するのはいいのですがカットできるようにして欲しかったかな。どうにも魅せたいっていうのは伝わってきたのですがそれが逆方向に作用している感じ。もっとストーリー進行を快適にした方が個人的には好み。
デザインは特筆する事はないかな。とか思いましたけどセーブ画面がちょっと見難いです。それだけ。
音楽面は良い物が揃っていました。日常曲もシリアス曲もOP、ED曲共に良い感じに作品に合わせている作詞で終わってみればこんなにも素直な曲だったのかと思うところ。特にThe Brave Decisionは導入のピアノが良くまた展開を盛り上げる意味でよい味出していました。音楽面でみればそこらの作品に負けないものがあります。
キャラクター、シナリオ
まずはシナリオ関係。サブキャラ等一部へ別原画ですがほぼみけおう氏単独と言って良い感じの構成。
女性陣に言えることですがキャラ付けが特徴的とか魅力があるってわけではないのですよね。割りと普通な設定なことが多いです。学生組は3人ともラボにかなり密接な関係なのですが個別扱いがないからなのか魅力は薄い。
一応サブキャラに宇喜多というおっさんがいますが彼もまとめて言ってしまうと今作ではどのキャラにも共通点をもたせた上で認識や印象の違い、また様々な視点をもたせたストーリー展開こそが今作最大の魅力ではないかと思います。
後は信念の強さ、これはどのキャラにもありますが人の思う力というのもテーマの1つなのか丁寧に描かれています。
もちろんみけおう氏のデザイン大好きです。渡瀬みたいな人も描けるのだなってのが以外ですた。
さて、もう今作最大の魅力。シナリオ
とにかく軒並みな言葉ですが非常に面白い。
まず何がシナリオで面白いのかというとルートAではとにかくプレイヤーもキャラクターも何も分からない視点からのスタートになります。視点キャラとユーザーの情報量が同じになるってことで感情移入がしやすくなっていること、それととにかく多い伏線の数、展開を考えるというのが楽しくネタばらしはなしで終わりBルートへ続きます。その先ではまた別視点での展開・・・というA,Bルート、その先のルートへと続いていく構成が綺麗です。
謎解きものですが唐突な展開もなく非常に丁寧。突飛ではないのである程度想像がついてしまうのですが後半に関しては答え合わせというのに近いのではないかなと。それゆえに素直なストーリー構成でありそこが面白い。
主人公勢への感情移入、そして流れるように判明していく謎と真実への道は是非プレイして味わって欲しいところです。
総じて
ネタバレ怖すぎて何も書けないw
言いたいことは本当に多いのですがあくまでこれをきっかけにやって欲しいと思うのなら当然のように本編について語るのはNGですからね。なんというか今作はどのキャラも持っている信念の強さ、そして丁寧な作り込みによる物語の連鎖というものを是非にも自分でプレイして欲しいのです。
いや、本当にアラが目立つところは多いのですがそれを差っ引いて考えれば今作は眠らせてしまうには惜しい作品です。
あくまでも丁寧かつ、王道なストーリー構成なので変わったものが欲しい人には物足りないかなとは思いますがそれを補って余り得るほどの感情移入のしやすさもかなりのものです。
この物語を最後まで進めた時、笠鷺渡瀬と天川夏彦の思いが交錯するその瞬間、その時こそがこの『ルートダブル- Before Crime * After Days -』の真髄。
2人の思いを是非見届けてください。